【奥ひらインタビュー】枚方メンマ(枚方竹林工房 銀)

枚方メンマの取り組み
「せっかくなんで、竹林の方に行きませんか?」
「枚方メンマ」の久保さんのその一言で、私たちは当初予定していた取材場所から離れ、竹林に向かって散歩をすることになりました。

寒さもあってか、朝方の澄んだ空気が気持ちよく、自然の心地よさを浴びながら傾斜のある道をしばらく歩いていきます。
進む道の脇には小川がせせらぎ、鳥の声も響く。そんな森林浴のような雰囲気に自然と心が軽やかになり、私たちはあっという間にこの里山の魅力に引き込まれつつありました。

「こうやって色んな方を竹林に連れて来るんですよね。そうすると、新しいアイデアが色々と出てくるんですよ」
久保さんは、定期的に竹林整備体験イベントを開催するなど、様々な人を呼ぶ機会を日頃から作っているそうです。
到着したのは、畑を少し登ったところにある竹林。
そこでは久保さんと共に里山保全活動として整備をしている方々が竹の伐採に勤しんでいました。
——枚方市東部の豊かな自然と魅力に新たな光を当てる「奥ひら」プロジェクト。

今回は、穂谷の竹林から採れた竹を使った国産メンマ「枚方メンマ」を通して、竹林整備をや里山保全活動を発信する「枚方竹林工房 銀」の久保銀次郎さんにインタビューを行いました。
【自己紹介】
——連れてきていただき、ありがとうございます。気持ちの良いところですね。
久保:でしょ。ここでインタビューを受ける方が伝わることも多いと思うので、連れてきました(笑)

——それでは改めてインタビューさせていただきます。ではまず、自己紹介をお願いします。
久保: 久保銀次郎と申します。現在は「枚方竹林工房 銀」の代表として、「枚方メンマ」をはじめとした商品の製造・販売。そして、この穂谷の竹を使った新しい製品の開発などを行っています。

【普段のお仕事について】
——「枚方竹林工房 銀」のお仕事内容について詳しく教えてください。
久保: この穂谷で育った竹で作ったスパイスメンマ「枚方メンマ」の製造と販売をメインとしています。その他にも竹を使った商品開発や、「スパイス工房 燦」から伝授したカレーを冷凍にしてスーパーなどに卸したりしています。



これらの活動のベースにあるのは“穂谷の竹林整備”なんです。人の手が入らず、放置されて荒れてしまった竹林を整備して、そこから出た竹をメンマなどに加工して有効活用していく、そういったサイクルを仕事にしています。

—— “竹林の整備”というのがまず先にあったんですね。ところで、そもそもどのようなきっかけで穂谷の竹林整備に関わるようになったのでしょうか?
久保: きっかけは、以前スタッフとして働いていた「スパイス工房 燦(現・辛口カレー燦)」の頃でした。

その頃、マスターの東さんと「自分たちで作った野菜でカレーを作る、それこそが究極のカレーなんじゃないか」と話していたんです。それで畑を探し始めて、穂谷にたどり着きました。

そこで畑を紹介していただいたんですが、この畑が竹藪の隣にあったので、とても日当たりが悪かったんです。なので日当たりを確保するために竹を切らないといけなかったんですね。
それで竹を切り始めたんですけど……それが面白かったんですよね(笑) 楽しくて楽しくて、ボコボコ切っていくうちに「これ、なんか切るだけじゃもったいないな…」って思い始めたんです。

それで色々調べていくうちに「放置竹林」という、人の手が入らなくなった竹林が増え続けて僕たちの生活に害を及ぼすという社会問題が全国的に起きていることを知ったんです。

原因は高齢化などの色んな理由で、竹林を整備する人がいなくなっていることでした。それなら若い僕らでなんとかしよう! と思い立ち、竹林整備をする里山保全団体を作って実際に山に入り始めたのがスタートでしたね。
——そうして生まれたのが「枚方メンマ」なんですね。カレーは「スパイス工房 燦」の頃から作っていたものですか?
久保:そうですね。「スパイス工房 燦」は、いまはマスターの東さんが同じ場所で「辛口カレー 燦」としてリニューアルしてお店をやっているんですが、竹林事業に関しては僕が引き継ぎました。その際にメンマはもちろん、無水チキンカレーとダルカレーも継承したんです。
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(ひらいろ記事)
——ちらっとお聞きしたところ、普段久保さんはバンド活動もされているそうですね。

久保:そうなんです。僕はギター担当なんですけど、結構ちゃんと活動していて!CDを作って、ライブも毎月4〜5本やっています。関西中心ですけど、毎月東京にも行ってますよ。
それで面白いのが、ライブってCDを売ったり物販もするじゃないですか。その横でこのメンマも販売するんですよ!

——おおー、そんなところでも!お客さんの反応はどうですか?
久保:これがめっちゃ売れるんですよ!ライブっていう非日常の場所で、こういう変わった物を売っているのって、お客さん好きなんですよね。しかもお客さんだけじゃなく、バンドマンにも売れるんです。
——そうなんですか?(笑)
久保:打ち上げで「これ、僕が作ったメンマなんですよ」って言ったら「え!買うわ」って言って買ってくれるんですよね。だから東京行く時なんかはたくさんメンマを積んで、それを全部さばいて帰って来ます(笑)

——東京でも「枚方メンマ」が展開されてるんですね(笑)



【「奥ひら」での活動について】
——それでは次に、 現在の「奥ひら」での活動について教えてください。
久保:各地のイベントでメンマを販売しているのはもちろんなんですが、新しい取り組みとして「ひらかた独歩ふぁーむ」の六車さんと協力して、穂谷の素材を使った新しい商品や調味料を開発・販売しようと動いています。

——「奥ひら実行委員会」に参加されたきっかけは何だったのでしょうか?
久保: 2年くらい前ですか、パナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)の試合会場に、スパイス工房 燦としてカレーの出店で行ったのがきっかけですね。


その時に奥ひらもブース出店されていて、そこで皆さんと知り合いました。その時にはすでに僕たちも枚方メンマを売っていたので、 一緒に枚方の東部地域を盛り上げることが出来ればということで、仲間に入れてもらったという形ですね。
【印象に残っているイベントについて】
——これまでの活動で、特に印象に残っているイベントや取り組みはありますか?
久保: 昨年11月に開催した「奥ひらフェス」ですね。塩漬けしたメンマにみんなで味付けをする「メンマ作り体験ワークショップ」をしました。

僕にとっては日常の作業なので何も面白くないんですけど(笑)、参加者のみなさんはとても喜んでくださって。
「こうやってメンマができているんだ!」と驚かれたり、竹林の問題についても熱心に聞いてくださったりして、自分たちの活動に需要があることを再確認できたので、印象に残りましたね。




僕が竹林事業を引き継いでから最初の大きなイベント参加だったというのもあるんですけど、それだけじゃなくて「体験」に特化したイベントだったのがめっちゃ良いなと感じたんです。

というのも、魅力発信のために商品を作ったり、資源を有効活用したりすることはよくあるんですが、僕はやはり実際に“体験してもらうこと”が重要だと思っていて。それで竹林整備体験もイベントにして開催しています。

ここは荒れ放題の山ですけど魅力的な場所ですし、イベントという形でみんなでこの地域に来て体験してもらうっていうことは、これからの時代にすごく求められると思ってますね。
【奥ひらの活動による手応えについて】
——活動を通じて広がった繋がりや、印象的なエピソードはありますか?
久保: そうですね。今日のインタビューもそうですが、竹林での活動を通じていろんな業種の方と繋がれるのがすごく良いなと思っています。
いろんな業種の方を山にお連れすると、違う視点で里山を見てもらえますし、新しい商品のアイデアが湧いたりするんです。

去年も、お花屋さんを山に連れてきたら、たくさん生えてる南天の実をみて「お、つかえそう」って言って持って帰られたり、竹の器を作って、それをどう活用しようか?なんて話で盛り上がりました。僕らだったら切って捨てるだけなんですが、色んなアイデアが出て楽しかったんですよね。なので本当にいろんな人に来てほしいなと思っています。

——他にはどのような方が来られましたか?
久保: コーヒー屋さんですね。山の中でプロにコーヒーを淹れてもらって飲む。それも参加者にめっちゃ喜んでもらえましたね。山で飲むコーヒーって最高にうまいんですよ。


あとは、ハーブティー。大森さんという、この近くでハーブティーを作られている方なんですけど、これも本当に美味しいんですよ。

穂谷で活動されている方は、一つひとつの事業規模は小さくても、それぞれが面白いことをされているので、そうした方々とコラボレーションすることで、無限大の可能性があるなと感じてます。
【今後の展望について】
——今後「奥ひら」でやっていきたいことはありますか?
久保: 先ほども言った「ひらかた独歩ふぁーむ」さんの野菜などを使った、奥ひらオリジナルの商品をたくさん作れたらなと思っています。それとジンジャーエールですね。
—— お、ジンジャーエールですか。
久保:元は「スパイス工房 燦」で働いていた頃に、店内で提供するために開発していたものなんです。原料の生姜はひらかた独歩ふぁーむさんに頼んで、そこに竹を粉砕して作った肥料を使って育ててもらったんです。

当時は、それでできた生姜を使ってシロップ作り、瓶詰めにして販売しようというところまで話が進んでいたのですが、ちょうどそのタイミングで「燦」が解散して(笑)
それが「奥ひらで何か商品を作ろう」となった時に、眠っていたそのジンジャーエールがちょうどいいんじゃないかという話になって。これを展開したいなと思ってますね。


【奥ひらへの想いについて】
——久保さんの「奥ひら」に対する想いを聞かせてください。
久保: 奥ひらにある穂谷の里山というのは「日本の里 100選」にも入るほどで、枚方、大阪はもちろん、日本全体にとっても本当に貴重な資源だと思っています。

こうした場所を一緒に盛り上げていこうと思える仲間がいるっていうのは、本当にかけがえのないことだと思うんです。そんなみんなと一緒に、この貴重な資源を活かしながら枚方東部を盛り上げていきたい、シンプルにそう思っています。

【竹林伐採や保全活動について】
——最後に、今日連れてきていただいた、この場所についてお聞きしていいですか?
久保:それは山口さんに話してもらった方がいいですね。お願いします。

◾️山口 進
認定NPO法人自然環境復元協会認定 環境再生医
(上級) 某企業のCSR・企業市民活動推進業務(社会貢献活動)を15年経験。
現在、環境再生の会・穂谷を主宰。
山口: 「環境再生の会・穂谷」で代表をしている山口進(やまぐち すすむ)と申します。この地域に関わる「関係人口」を増やしていくことを一つの目的として活動しています。
——先ほど、放置竹林が社会問題になっていると聞いたんですが、竹をほったらかしにするとどういう被害があるんでしょうか?
山口: このあたりの竹林(山林)は、実は穂谷地域の重要な「水源エリア」で、ここをきっちり保全しないと、下流に水を供給できなくなるんです。


竹は繁殖力が強く、地表から30cmほどの深さに根を張り巡らせます。その根が地面を覆い尽くしてしまうと、元々あるクヌギなどの木々にも水が行き渡らなくなり、枯れてしまう。
私たちが竹を間伐して、本来の植生に戻していくことで、届くべき場所に水が届くようになるんです。

私たちの活動は、この地域を守るベースとなる必要不可欠な活動です。派手でポップなものではないかもしれませんが、この活動があるからこそ、銀ちゃんのような若者がアイデアを出して、メンマを作ったりできる。

そうやってコツコツと地域を支えている団体がいるんだということを、まずは知ってもらえたらと思います。

——奥ひらを通じて、この「放置竹林」や「里山保全」にも目を向けてもらえるといいですね。また詳しくお聞かせください。今日はどうもありがとうござました。

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